鑑賞教育シンポジウム!

 これまで、熊本県下の先生方に声をかけて3回のシンポジウムを開催してきました。1回目は、2015平成27年11月21日(土)に「鑑賞教育シンポジウム ー美術鑑賞という行為について考える」のタイトルのもと熊本大学くすのき会館にて開催し、2回目は、2016平成28年12月10日(土)に「美術教育シンポジウム」のタイトルで「鑑賞教育は必要なのか?」というテーマのもと、熊本大学工学部100周年記念館にて開催しました。そして最終の3回目は、熊本地震により1年延長した科研最終年度の2019平成31年2月2日(土)に「美術教育シンポジウム2019 ー美術教育の未来そして鑑賞教育ー」と題して、熊本大学くすのき会館にて開催いたしました。(…図版参照)

* 第3回の「美術教育シンポジウム2019 ー美術教育の未来そして鑑賞教育ー」につきましては、提出された分の事後アンケートに記載された「 1)シンポジウムに参加した理由 2)シンポジウムの内容について 3)感想 」を、下段に全て紹介しております。

 最終3回目のシンポジウムは、文部科学省初等中等教育局視学官の東良雅人先生の基調講演も頂き、総勢70名を超える満員御礼の参加者の中、研究を深めることが出来ました。最も感じたことは、参加の先生方が真剣に美術教育のこれからを考え、かつ自身の美術教育力を高めようという強い意志でした。参加の先生方を中心としたこれからの奮起が実に楽しみです。以下ここに、回収したアンケート記載のご意見を紹介しておきます。

1)シンポジウムに参加した理由 ……… ・美術教育に関する理解を深めるため。・鑑賞教育のあり方について学びたいから。・新指導要領の話が聞けると期待したから。・タブレットを活用した実践発表があるから。・美術、図工教育について考えたいから。・大きく変化するであろうこれからの美術について知るため。・美術教員として学びを深めるため。・今後の美術を考えるための引き出しを増やしたかったから。・数少ない美術教育のシンポジウムの機会と思ったから。・自身が県外大学の出身で、美術のつながりがない中で心細く実践している状況であるため。・鑑賞の授業に悩むから。・専門外の美術を受け持ち、日々不安と疑問を抱えている。特に鑑賞について何をどうすれば良いのかわからない。取り組めるアイディアを獲得しにきた。・内容が盛りだくさんだったから。・東良先生の講演に興味があったから。・テーマそのものに関心があったから。・新指導要領で求められる鑑賞の未来づくりのヒントを学びたいと思ったから。・小中高の授業内容を知りたかったから。・「これからの美術教育の展望」「美術教育の未来」のキーワードに関心を持った。・鑑賞の授業は生徒の思考力の向上に確実にプラスになってると感じるから。

2)シンポジウムの内容について ……… ・アプローチの仕方によって授業や子供の学びが大きく変わることを改めて感じた。・東良先生の話にあった「Society5.0に向けた人材育成」についての課題、方向性は非常に参考になった。・新指導要領を具体的に取り入れるイメージが出来た。・学術的裏付けが非常に参考になった。・美術、図工の教科の意義について考えられた。・これまで自分自身が学んできたことを頼りに授業を行っており授業の目的が曖昧になりがちだったが、今回参加したことで、どこに視点を向けさせ、どのように作品作りに意欲を持たせるかのヒントが得られた。・ICTの活用の例など、授業を組み立てる上でのゴールの考え方を知れた。・普段の授業づくりで活かしていこうと思えた。・具体的な実践紹介が大変勉強になった。・新指導要領に向けて勉強して行きたい。・それぞれの先生方の美術教育に対する考え方がしっかり確立しており、今後の授業づくりの参考になった。・鑑賞教育のあり方や様々な工夫を知ることができ、改めて考えさせられた。・新学習指導要領が公示され、東良先生の資料やお話から、これからの美術教育について知り、授業を改めて考えることができた。・これからを生きる子供たちと常に新しく学んでいかねばと思った。・鑑賞の授業で作品を見る視点や言葉について悩むので、考え方や工夫を知ることができた。・美術教育を愛しどうしたら良いか熱心に考えられている先生方の話は参考になった。・自分の実践にどう生かすか考えたい。・社会を生き抜くための力を子供達にどう育むか美術教育に何ができるのかもっと考えたい。・東良先生の「鑑賞は…様々な視点で思いを巡らせ、自分の中に新しい価値を作り出す」という言葉に衝撃を受けた。自分自身数多の多様な作品に出会ってみたい。・ICTに長けているとゆたかな学びをデザインできるのだと思った。・実践例はレベルがとても高く、自分の取り組みに入れるのはちょっと大変かな?と思った。・鑑賞の授業において、何を伝え、何を感じさせ、何を学び身に付けるのか、指導者がしっかり持つことが大切だと思った。・東良先生の話も大変わかりやすく理解できた。・実践発表は自分と違う取り組みで大変興味深かった。・現場、行政、大学におけるそれぞれの考え方を知ることができた。・素晴らしい実践と理論的裏付けだった。・現場で授業する以上は評価についての視点ももう少し欲しかった。・森内先生の発表に感銘を受けた。学校外との連携は大変だと思う。・ツナガルドボクが大変学びになった。美術の可能性を感じた。・これからの鑑賞教育の根っこについて確認ができた。・授業実践において目的に迫るための方法手段について学べた。・新学習指導要領で3観点に変化するため今回学べると期待していた。・「対話的で深い学び」につながる実戦は参考になった。・小学校の表現作品に新たな気づきをさせるための鑑賞が興味深かった。・自身の教員歴が浅く日頃の授業に不安を感じている。全ての講演からエッセンスを受け取ることができた。・鑑賞教育はもっと自由でいいのだと気づいた。・美術教育は必ずしも1つの答えが正解な訳でなく、かと言って自分なりの答えを必ずしも見つけなければならないものでもなく、美術は大切だという感覚を持ってもらえたらいい。・発表者の方々は各校種の先端なのだろうなと思った。・iPadの導入や土木との連携の実践が、自分にできるかはわからないが勉強になった。・「鑑賞と表現のバランスのいい取り入れ方」や「評価方法」「必要な時間数」など具体的な部分も知りたかった。・森内先生の「特別な授業を普通にやれるようにしたい!」という言葉、古閑先生の制作へ活かす鑑賞、緒方先生の「審査員」鑑賞や水野先生の「なりきり鑑賞」などいずれも非常に楽しく参考になった。・今後芸術や美術教育がどのようになるかの指針が多少明確になった。・生徒にどのようなアプローチをするのか現場の映像から分かった。・制作も鑑賞も生徒に考えさせることが大切だと分かった。・新指導要領の重点がまとめてあり分かり易かった。

3)感想 ……… ・体験を通した学びを前提とする幼児教育の立場から考えても、「体験型鑑賞教育」は素晴らしいと思った。・iPadを使った実践ではアプリを使用し非常に面白いと思った。これから先増えると思うので勉強したい。・日本画は詳しくないため取り扱っていなかったが、書斎画などの種類や使い方がわかれば子ども達も入り込みやすいと思った。・表現も鑑賞も創造活動だ、という言葉に感銘を受けた。・当初は時間が長いのではと思ったが、学びが多くありあっという間であった。・発表者の先生方の日頃の努力が素晴らしく、自分も努力せねばと思った。・「これ作って何になるとー」最近の授業での子供のつぶやきです。意欲を持つ子が多い中、このような子にどう声かけや興味関心を持たせるか悩んでいる。・美術教育のために、先生方と一緒に頑張りたい。・貴重な機会を与えていただき感謝している。・短い時間で数多くの素晴らしい先生方の貴重なお話が聞けた贅沢な時間だった。・今後もこのような学びのチャンスを実施して下さると有難い。・石庭の実物も展示していただき興味深かった。楽しそうだった。・このような機会がこれまであることを知らず初めて参加した。学びの機会に感謝。・様々な視点からの指導方法や手法、教具等の情報を得ることができた。・この時期の研修会はあまりないがいい刺激を受けた。・最近「自分なりの価値」がわからず悩んでいる。今回の話でも、主観客観のことが出たが、どちらが主でもないと思う。客観と主観が結びついてこその価値ではと思うが。これからも考えて行きたい。・生活や社会との関わりの中で美術館に行くという育成が出たが、それぞれの人生の中で造形に興味を持たせるのが美術だと思う。造形的見方が当たり前になれば良いと思う。・時間が押していたが会場からの質問を受けた方が良かったと思う。一方通行過ぎた。・主体的で対話的、深い学びの視点からの授業改善についてもっと学びたい。・講演と実践発表に共通のフォーマットがあればより分かりやすいと思った。・緒方先生と森内先生の発表が心に残った。鑑賞教育に対する視野がぐっと広がった。・今だに「なぜ美術は学問としてあるのか」と考えることがあり、さらに深く考えることができた。・美術の可能性は大きい。様々な視点(STEAM教育やデザイン思考、工学との繋がり)で学び続けたい。・自分の授業を振り返る良い機会となった。・気づきや課題を持ち帰り改善に役立てたい。・異校種の交流の機会をまた作っていただきたい。・「役立つ」という言葉の印象が、自分にとって「利益」(とくする)になるということが否定的な答えになっている気がする。・美術がどれだけ医療や衣食住に生かされているか、平素の授業で伝える努力が必要。・教える側の知識や技術の蓄えが必要。・大学時代、美術教育について学ぶ機会がなくついていけるか不安だったが、楽しみながら詳しく学ぶことができた。・鑑賞について最新の考えと新たな知見を得ることができた。・小中高の他に、障害を持つ子供たちにどう美術教育を行うか、特別教育の視野も入れた、支援が必要な子供達も参加できる実践をみてみたい。・手伝いの学生のまっすぐな眼差しも素晴らしかった。  … 以上!

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